中小企業診断士 経営法務の勉強方法|会社法・知的財産権・民法を効率的に攻略するコツ

中小企業診断士

. 経営法務とは?

経営法務は、中小企業診断士一次試験の7科目の中で 法律知識を体系的に学ぶ科目 ですが、学ぶ法律が断定的であり、部分での学習のためそこに至る背景や条文の理解ができないので、そのままの意味での暗記科目になるから体系的に覚えづらいとされています。
法律系の問題は合格者の中でも最もとっつきにくい問題として代表されています。だけど、法律系の問題は視覚化して分かりやすくすると理解がしやすいので、なるべく挿絵の多い教材で学習することが重要となります。

出題分野は大きく3つ。

  • 会社法・商法:会社設立、機関設計、株式・M&A など
  • 知的財産権:特許、実用新案、意匠、商標、著作権、不正競争防止法
  • 民法・その他法務:契約、債権、担保、倒産関連法務 など

2. 試験の特徴と出題傾向

  • 出題数:25問(50点分)
  • 合格ライン:全体で60点(100点満点中)
  • 出題形式:法律用語・制度理解の暗記問題が中心

近年の傾向

ここ数年の経営法務は 会社法・知的財産権の比重が高め。特に「機関設計」「株主総会」「知財権の保護対象と存続期間」が頻出。
民法・倒産関連は毎年出題されるものの浅めで、契約・担保・再生法務の基本論点に絞って対策するのが効率的です。

  • 会社法:株主総会・取締役会の権限、M&A手続き
  • 知的財産権:特許・商標・意匠の違い、存続期間
  • 民法:契約類型、連帯債務と保証、担保権の区別

📌 挿絵ポイント:

  • 株式会社の機関設計図
  • 知的財産権の比較表(対象・存続期間)

3. 効率的な勉強方法

3-1. 会社法・商法(暗記+図解整理)

  • 機関設計や株主の権限を図解で整理
  • 細かい条文暗記は不要。過去問で出る範囲に割り切る
  • 「誰が何を決定するのか?」を押さえると得点源に

一次試験例題
株式会社の機関設計に関する記述として、最も適切なものはどれか。

A. 株主総会は業務執行に関する意思決定を行う
B. 取締役会は取締役の互選によって選任される
C. 株主総会は定時株主総会と臨時株主総会に分かれる
D. 株主総会は取締役会の監督機関である

👉 正解:C


3-2. 知的財産権(暗記メイン)

  • 「保護対象」と「存続期間」を表で比較して暗記
  • 試験直前期は「知財権一覧表」を回すのが鉄板
権利保護対象存続期間
特許権発明出願から20年
実用新案権考案出願から10年
意匠権デザイン登録から25年
商標権ブランド・ロゴ10年ごと更新可
著作権著作物死後70年

二次試験例題(事例Ⅱイメージ)
新商品デザインを守りたい中小企業が取るべき知財戦略を80字以内で述べよ。

👉 解答例:デザインを保護対象とする意匠権を活用し、模倣を防止することで競争優位を確保する。


3-3. 民法・その他法務(頻出論点だけ)

  • 契約:売買/請負/委任の違いを理解
  • 債権:連帯債務と保証債務、担保権の種類
  • 倒産法務:民事再生/会社更生/破産の違い

👉 出題は浅いので、契約・担保・再生の基礎に集中すれば十分。


4. 学習スケジュールの立て方

合格者平均を参考にすると:

学習内容インプット時間アウトプット時間
会社法10時間~12時間条文・用語暗記
知的財産権8時間~10時間過去問反復
民法5時間〜6時間2〜3周
本体復習
予想問題集

👉 法務は短期集中型で攻略可能。会社法と知財を重点に置くと得点効率が高い。

📌 挿絵ポイント:「知財権の存続期間一覧表」


5. 失敗しやすいポイントと対策

実は一番得点しにくい試験とされる経営法務。その際に失敗しやすいポイントとその対策を紹介。

法律の条文暗記に走る

経営法務は法律科目なので、つい六法や条文を細かく覚えようとしてしまいがちです。
👉 対策:診断士試験は司法試験のような詳細知識は不要。過去問で問われた制度・用語に絞ることで効率的に得点可能。
あくまで過去問でどう言った問われ方をしてるのかを把握して問題形式に慣れることが最優先です。

知財の区別が曖昧になる

特許・意匠・商標など、似た用語を混同して得点を落とすケースが多いです。
👉 対策保護対象・存続期間・特徴を一覧表で整理し、直前期に繰り返し確認する。試験直前は「知財権比較表」を常に手元に置く。例えば特許権は出願から20年が存続期間だが、実用新案と言ってシャチハタ印鑑のように従来のものに少し工夫を凝らした案など構造自体の考案を保護する権利は出願から10年が存続期間です。

こういった言葉は似てるけどその補完の性質が全然違うので要注意です。

民法に時間をかけすぎる

範囲が広いため「債権法改正」「会社更生法」などを深追いして時間を浪費しがちです。
👉 対策契約・担保・再生法務など頻出論点に集中し、難問は切り捨てる。深追いは非効率。
民法の難問の特徴として条文の細部を聞いてくるような問題や判決の知識を問う問題、例えば「 最高裁判例では〇〇契約の効力はどういう判断をされたのか」などの問題は全体の生徒率が低く合否に響きにくい問題です。

中小企業診断士試験では、契約の関係や債権の関係など構造的に理解していれば答えられる問題が多いので重点的に学ぶのは応用ではなく基礎的な内容であることを認識してください。


6. まとめ

経営法務は 「暗記で得点源にしやすい科目」

  • 会社法:機関設計・株主関連を確実に押さえる
  • 知財:保護対象と存続期間を暗記
  • 民法:契約・債権中心に浅く広く

出題範囲は決まっているため、頻出分野に集中+過去問反復で効率的に攻略可能です。

👉 次に読むと効果的な記事

  • [学習スケジュールの立て方](効率的に計画を組む)
  • [二次試験の傾向と攻略法](一次知識の活かし方を徹底解説)

👉 会員専用MCQ演習ページでは、法務の一問一答演習+弱点抽出が可能。自分に合った問題演習で得点源化を加速できます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 経営法務は独学でも対応できますか?

A. 独学でも十分対応可能です。会社法・知的財産権・民法の基礎部分に絞れば、市販テキストと過去問で合格ラインを狙えます。法律の細かい条文暗記は不要で、「誰がどんな権利を持っているか」「企業活動にどう関わるか」という全体像を押さえるのがコツです。


Q2. 勉強時間はどのくらい必要ですか?

A. 経営法務は 40〜60時間程度のインプット+過去問演習 が目安です。範囲は広いですが深追いは不要。会社法(20時間)、知的財産権(15時間)、民法(10〜15時間)を目安に時間を配分すると効率的です。


Q3. 難易度が高いと言われるのはなぜですか?

A. 出題範囲が広い割に試験問題が細かく、特に民法の判例や条文がマニアックに問われることがあるからです。ただし全問正解する必要はなく、頻出分野(会社法の機関設計、知財の保護対象)に集中すれば6割は確実に狙えるのが特徴です。


Q4. よく出る分野はどこですか?

A. 毎年出題されやすいのは、

  • 会社法:株主総会、取締役会、監査役など「会社の機関設計」
  • 知的財産権:特許(発明)、商標(ブランド)、意匠(デザイン)、著作権(表現)
  • 民法:契約の成立要件、債権の譲渡や消滅時効
    👉 まずはこの3分野を重点的に学習するのが得点への近道です。

Q5. 難問が多いときはどうすればいいですか?

A. 経営法務は毎年「正答率が低い超難問」が混じります。こうした問題は合格者でも落とすので、深追いせずにスルーする判断が大切です。その代わり、基礎〜中レベル問題を確実に拾って得点を積み上げましょう。

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